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防災社会デザイン研究会 慶應SFC

三浦巡検


 2015年7月18日に大木研究会の有志メンバー6人が産業技術総合研究所の宍倉正展さんの案内で三浦巡検に行ってきました。夏真っ盛りということで過酷な1日を想像していましたが、当日は雲が多く日差しを遮ってくれていたため、幾分か涼しく感じられる気候で順調に巡検が進められました。

 10時頃に京急長沢駅に集合して、一番最初に武山断層を見にいきました。市街地の中を進んでいき、宍倉さんが「ここに断層がある」と教えてくれた場所は一見どこに断層があるか分かりません。しかし、よく観察してみると道が左右に写真のように大きくずれていました。こんな普通の市街地に断層が通っているのかというのが素直な感想で周りの人はどれくらい周知してるのだろうかと気になります。

 次に向かうのは城ヶ島。バスに乗り、城ヶ島大橋を渡って島に到着。海岸線をしばらく歩くと馬の背と呼ばれるところが見えてきました。

馬の背とは元々は海岸にあった大きな岩に波が長年打ち寄せ続けることにより少しずつ削り、岩を貫通させるほどの大きな穴を開けた自然でできた構造物のような場所のことです。これだけ大きな穴が人工ではなく自然の波の力だけで作られるのです。なぜ「馬の背」と呼ばれていることはわかりませんでした。

 また城ヶ島では様々な地層が見られ、逆断層や関東ローム層炎のように見えることから火炎構造と呼ばれる「柔らかい泥が海底を覆っている時に火山からの噴出物が一気に覆いかぶさることにより泥が舞い上がった状態で保存された地層」も見え、こういうものが自然の力でできるというのが不思議な感じでした。(下の左写真が火炎構造、右写真は逆断層)

 城ヶ島から宮川公園へ。地震は大きな地殻変動を起こします。宮川公園の「波食棚」にはその地殻変動の痕跡が見ることができるんです。波食棚は元々海岸にあって、波の浸食を受けていた場所が地震により隆起していき干上がってできました。元々海だった場所が何回もの大地震で陸に隆起していくのはとても大きな力ですね。

 宮川公園から長い時間歩いて三浦市で一番高い山の岩堂山に登りました。しかし、登ったといっても最大で標高90mという小高い丘のような印象でした。しかし、この丘も実は約12万年前は海の底にあり関東地震のような地震の影響で隆起して今のような丘になったそうです。下の写真は丘から海の方を撮った写真です。数十万年かけて、あの海の方からこの丘にまで隆起してきたのです。またこの写真を撮った場所が昔、海底だったということを聞くだけでなにかタイムスリップしたような感覚を得ました。

 今回の巡検に参加して、自然の雄大さに触れ、自然と人間の時間の流れというのはまったく違うような印象を持ちました。また知識を持っていると思っていても実際に行ってみると知らないことや新しい発見があるということを強く思い、まさに「百聞は一見にしかず」でした。勉学に励んで知識を深めるのもいいですが実際に現地を見てきてください。


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